災害サイクルごとの看護師の役割

東日本大震災、古くは阪神・淡路大震災などで活躍が注目された災害医療。近年では海外で地震が起きた現場に、災害医療のスペシャリストである日本の医師や看護師たちが派遣されており、各所で話題となっています。

災害医療において、看護師は大切な役割を果たしています。災害の現場の状況を期間で表した災害サイクルというものがあり、一般的には災害が発生してから2から3日目までを「超急性期」、1週間目までを「急性期」、2週間目から3週間目までを「亜急性期」、災害から数ヶ月から数年までを「慢性期」、それ以降は「平穏期」に分けられます。それぞれの時期ごとに看護師の果たす役割は変わっていきます。

「超急性期」では、看護師は初期治療やケガの処置、トリアージ(傷病者に治療の優先順位をつける)など、医療機関における被災者の受け入れ準備、また、2次災害の防止などを行います。「急性期」では、後続隊や医療機関に引き継ぎを行います。また、避難所生活が必要な場合は、避難所の整備にも関わります。

「亜急性期」は、外傷を負った患者さんは減ってくるものの、ストレス障害が目立ってくる時期になります。お子さんや高齢者などを中心にメンタル面でのケアを行ったり、医師の巡回診療に同行して医師のサポートをしたり等が主な役割になります。

「慢性期」は、被災地の復興がスタートする頃です。現地の医療体制を整えたり、被災者の慢性疾患、そしてPTSDなどメンタル面でのケアを行います。「静穏期」では、経験をどのように次の災害に活かすか検討したり、防災対策を考えたりと、今後に備える対応が求められる時期となります。

なお、災害は自然経由のものだけではありません。テロや交通事故や鉄道事故、ガス爆発や大火災などの人的災害でも災害医療として対応する形になります。東日本大震災などの大災害クラスであれば、災害支援ナースやDMATといったスペシャリストが全国から集まり、災害医療にあたります。